電気で動くヘリコプターⅡ

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ココログを見ての問い合わせが未だにあるので、当時のテキスト(一部改め)を紹介する。


1.パーツリスト[単位:mm]

  1. 胴体1:15×5×50(桧角材)[上端より6mm中心にφ6貫通孔、下端より18mmに間隔8mmでφ1.5貫通孔×2、下端より5mmと10mmの背面中央にφ1.5下孔]
  2. 胴体2:φ6×25(桧丸棒)[前端より9mm中心にφ3貫通孔]
  3. 胴体3:φ6×210(ストロー)[後端20mmまで上下に切り込み]
  4. 回転翼:単翼(20×170、1mm厚紙貼スチレン)×2+ヒンジ15×50(0.5厚スチレンシート)[強力両面テープで貼り付け]
  5. 尾翼:100×95(1.5mm厚スチレンペーパー)
  6. ギヤ+軸:平ギヤ(60枚、φ1.9軸、モジュール0.5)、ピニオンギヤ(10枚)、φ2×50(軟鉄丸棒)、平ギヤ(24枚)
  7. 軸止:φ2ワッシャー+ポリエチレン・チューブ
  8. 軸受:φ3×0.5厚×20(黄銅管)
  9. 脚:φ0.9×450(ピアノ線)+φ3×0.5厚×10(アルミ管)×2(加工済み)、φ2×5(木ネジ)×2
  10. モーター:田宮模型製トルクチューンモーター
  11. 電気二重層キャパシター:昭栄製PAS 2.3V10F
  12. スイッチ:単投3P
  13. リード線:φ0.5×30(単線)

2.工具その他

  • カッター
  • 定規
  • はさみ
  • ハンダごて
  • ハンダ
  • ドライバー
  • 強力両面テープ
  • セロテープ
  • 電池ボックス(単一乾電池×2)+ミノ虫クリップ付きコード

3.工作の手順

  1. 15×5×50桧角材の上端から6mmの中央部にドリルでφ6の貫通孔をあける。下端から18mmに、間隔8mmでφ1.5の貫通孔2個をあける。背面中央部に下端から5mmと10mmに、φ1.5の下孔をあける。
  2. 6×25桧丸棒の前端より9mmにドリルでφ3の貫通孔をあける。
  3. φ3×0.5厚×20黄銅管の軸受を金ノコで切り出し、ヤスリで端面の面取りをした後、φ2ドリル歯を入れて回して切断部のバリを落とし、φ2×50軟鉄丸棒の軸がスムーズに回ることを確認する。
  4. ピアノ線をペンチで曲げ、直径10cmの円形と大円の中央部に高さ10mm、幅2mmのヘアピンをつくり、大円の両端をアルミ管で圧着して脚とする。
  5. 平ギヤ(24枚)の中央部の突起を紙やすりで削って落とし、回転翼の受台とする。
  6. 1mm厚紙貼スチレン材から20×170矩形2枚をカッターで切り出す。はさみで整形した後、手で上に凸の丸みをつけて単翼2枚をつくる。ヒンジは、0.5厚スチレンシートから15×50矩形をカッターで切り出し、中央にドリルでφ2の貫通孔をあける。+片面のヒンジの両端から1cmの位置と、その裏面の中央から7.5mm(両端からはそれぞれ17.5mm)の位置にマークしておく。ヒンジの両端部1cmに単翼のそれぞれの前縁がヒンジと一直線になるように強力両面テープで貼り付ける。ヒンジ裏面の中央部に強力両面テープを貼り、孔の位置にカッターで×印の切り込みを入れる。
  7. 1.5厚スチレンペーパー材から100×95矩形をカッターで切り出し、はさみで整形して尾翼とする。φ6×210胴体3の後端部に、はさみで約20mmの切り込みを入れ、尾翼の前端部を挿入して胴体3の後端部の両側をそれぞれ尾翼に押し付けながらセロテープで固定する。
  8. 軸に上方から25mmの位置まで平ギヤ(60枚)を下向きに挿入する。その後、平ギヤ(24枚)を軸の上部に上向きに6mm押し込む。
  9. 胴体2のφ3貫通孔に軸受を通し、上方に10mm突き出た位置で軸受が真上を向くようにした後、軸を上から軸受に通し、下方に出た軸にφ2ワッシャーとポリエチレン・チューブの軸止を挿入する。その状態で、軸がスムーズに回ることを確認する。
  10. 胴体2の短い側の端を胴体1のφ6貫通孔に通して仮組みする。
  11. モーターの軸にピニオンを通し、平ギヤ(60枚)と位置合わせをした後、強力両面テープで胴体1の上部に貼り付ける。
  12. 胴体1のモーターの下にスイッチを下向きに接着剤で貼り付ける。背面からマイナスのマークを右側にして電気二重層キャパシターの足を貫通孔に通し、スイッチの両端の端子にそれぞれハンダ付けする。モーターの左端子とスイッチの左、モーターの右端子とスイッチの中央をハンダとリード線で配線する。
  13. 電気二重層キャパシターを短時間充電し、スイッチを入れて平ギヤ(60枚)が(時計回りに)スムーズに回ることを確認する。
  14. 脚の中央を胴体1下部のφ1.5下孔2個に木ネジで固定する。
  15. 胴体3を、尾翼が正立するように胴体2の丸棒に差し込む。
  16. その状態で、バランスを確認する。前部が重過ぎる場合は、25mm程度の長さのハンダを胴体3に巻きつけ、前後させてバランスを調整する。
  17. 回転翼のヒンジの中央部を軸に挿入して強力両面テープで平ギヤ(24枚)に貼り付ける。
  18. 電気二重層キャパシターを短時間充電し、回転翼がスムーズに、また、2枚が上下にズレないで回るように、翼のねじれ(水平から4~5mm)を調整する。(回転翼端部が中心より40mm以上高くなるようにする。)

4.飛ばし方

  • 電気二重層キャパシターを30秒間充電し、目の高さでスイッチを入れて手を離すとヘリコプターが上昇を始める。または、1分間充電して、机上から離陸させることもできる。
  • ヘリコプターが着陸(または落下)したら、スイッチを切る。

5.注意事項

  • 飛ばすときは周囲に人が近づかないように注意すること。
  • 飛んでいる間は、ヘリコプターから目を離さないこと。
  • 安全のため、落下の際には、回転翼が翼受台から外れるようになっているので、接着剤で固定しないこと。
  • 電気二重層キャパシターはショートさせないこと。
  • 電気二重層キャパシターは3V以上で充電しないこと。

電気二重層キャパシタ

大容量のコンデンサーで、繰り返し充放電に強く、大電流が取り出せる特徴があります。現在は、携帯電話などの電源回路に利用されていますが、将来はさらに大容量化して、電気自動車や家庭用分散型電源などの電力貯蔵への利用が期待されています。蓄電池に似ていますが、放電とともに電圧が低下するため、一般には定電圧回路を組み込みます。


6.ヘリコプターの飛行の原理と調整方法

(1)飛行の原理

ヘリコプターの回転翼も飛行機の翼も、凧が上がるのと同じ原理で機体を上昇させます。

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ヘリコプターの回転翼と飛行機の翼の違いは、ヘリコプターでは翼の根元と翼端で気流の速度が違うことです。ヘリコプターの回転翼は飛行機のプロペラと似ています。

(2)安定性と調整法

ヘリコプターの安定性に必要なのは、まず、揚力の中心と重力の中心が一致していることです。前後左右でいえば、機体の重心は、回転翼の軸の位置に合わせる必要があります。次に必要なのは、機体が傾いたときの復元力です。ヘリコプターの機体が傾いたときの復元力は、機体の重心が揚力の作用点よりも下にあることで生ずる力と、回転翼のコーニングによる力があります。


コーニングとは、回転翼が回転したときに、翼の根元よりも翼端で気流の速度が大きくなるために、翼端の方が高くなることをいいます。コーンとは円錐形のことです。このコーンが傾くと、単翼に作用する揚力は左右で同じですが、揚力の垂直方向の成分はコーンの傾きで異なってきます。下になる単翼に働く揚力の垂直方向の成分がより大きくなることから、コーンの傾きを戻す力が生じます。そのためには、ヒンジの適度な弾力性が重要です。

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【参考図】

組立図

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分解図

回転翼

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胴体1、2

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胴体3、尾翼

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結線図

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(※id:TJOid:apgmmanから受領したWord原稿を元に再構成、代理投稿したものです)